コロナウイルスの打撃、店子、借家人保護策へ

家主の追い立て禁止や家賃支払猶予など

 コロナウイルスのために営業を停止し、収入の途絶えている事業所や失業、一時帰休になっている労働者が家賃支払いに困っている場合、家主が店子、借家人を追い出すことを規制する「借家人救済制度」で考えられている。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。

 連邦、州、準州政府は、全国800万人の借家人を保護するため、異例の介入策の編成を急いでいるが、一方で賃貸業界では、家賃支払いが停止することになれば「破滅的」な結果になると警戒している。

 コロナウイルス蔓延を遅らせるため政府の命令で零細店舗やサービス業務の営業を停止した場合に家賃が払えなくなることが予想されるが、賃貸住宅とは別の対策で事業主が事業を続けられるよう救済することも考えられている。

 不動産貸借法は州、準州の管轄であり、この2つの制度には連邦政府の対策は含まれておらず、借家人の保護を強化する対策は州、準州が主体となって進めることになる。

 デロイットの推定によれば、オフィス不動産市場で今年は少なくとも90億ドルの賃貸収入が危機にさらされており、賃貸住宅の賃貸総額はシドニー都市圏だけでも年間165億ドルにのぼる。

 スコット・モリソン連邦首相は、全国閣僚会議でこの店子・借家人救済措置を州首相、準州主席大臣らと話し合っており、数日中に具体的な対策が発表されることになる。

 3月25日現在、28万人がセンターリンクで、緊急コロナウイルス救援対策に基づいて給付金を申請することを明らかにしており、賃貸援助申請は今後増えることが予想される。

 ただし、ダニエル・アンドルーズVIC州首相が、「店子が追い立てを受けることは望まないが、一方で家賃収入が途絶えた家主はその不動産の住宅ローン返済に困ることになるだろう」として、借家人の救済だけでは解決しないことを主張している。
■ソース
Rental rescue for business, tenants to be protected from eviction