ビクトリア州の新しい州首相が、在宅勤務を「権利」として扱う法整備をいったん進めない考えを示したと報じられています。オーストラリアではコロナ禍以降、出社と在宅を組み合わせる働き方が広がりましたが、州政府レベルでどこまで制度として後押しするかは引き続き議論が分かれそうです。
今回の報道では、ビクトリア州で検討されていた在宅勤務の権利化に向けた動きに“いったん停止”がかかったことが焦点です。詳細な制度設計や再開時期ははっきりしていないものの、少なくとも直ちに法制化へ進む流れではなくなったとみられます。
在宅勤務そのものがすぐに禁止されるわけではありません。現在も多くの職場では、企業ごとの方針や上司との合意、職種の性質によって柔軟な勤務形態が認められています。ただし、法律上の強い後ろ盾が整わない場合、働き方の決定権は雇用主側の運用に左右されやすいため、今後は州の政策よりも各企業の就業ルールがいっそう重要になりそうです。
パース在住の日本人にとっては、「ビクトリア州の話だから関係ない」とは言い切れません。オーストラリアでは、働き方をめぐる議論が他州や連邦レベルの政策論争に波及することがよくあります。特に、家賃や通勤費の上昇、育児や介護との両立、人材確保の難しさといった問題は州をまたいで共通しており、在宅勤務をどこまで認めるかは住まい選びにも影響するテーマです。
住宅面との関係で見ると、在宅勤務が広がると都心近くに住む必要性が相対的に下がり、郊外や地方都市への居住を選びやすくなる一方、出社回帰が強まれば勤務先へのアクセスが改めて重視されます。これからパースへ来る人や、州内で引っ越しを考えている人にとっては、家賃だけでなく「週に何日出社が必要か」を確認することが住居選びの前提になっています。
また、日本人の就職・転職活動では、求人票に“hybrid”や“flexible work”と書かれていても、実際の運用は職場によって差があります。採用面接やオファー受諾前の段階で、次の点を具体的に確認しておくと安心です。
- 週あたりの出社日数の目安
- 試用期間中の勤務形態
- 在宅勤務に必要な機材の支給有無
- 州外・海外からのリモート勤務可否
- 子どもの送迎や家庭事情への配慮
オーストラリアでは、連邦の労使制度の中で柔軟な勤務申請の枠組みはありますが、誰でも無条件に在宅勤務を選べるわけではありません。今回の報道は、「柔軟な働き方」は社会的に定着していても、それを法的な権利としてどこまで明文化するかはまだ政治判断が大きいことを示した形です。
現時点ではビクトリア州での法整備の足踏みが伝えられている段階です。パースで働く人に直接の制度変更が出ているわけではありませんが、雇用条件や住宅選びに関わる話題として、今後ほかの州や全国的な議論に広がるか注目されます。これから仕事を探す人は、給与や勤務地だけでなく、実際の働き方の柔軟性を契約前に確認することがますます大切になりそうです。
※在宅勤務権の法整備見送りは、現時点で確認できる1件の情報源をもとに整理しています。続報や公式発表で内容が変わる場合があります。