オーストラリアで注目されていた人種差別をめぐる裁判で、ワン・ネーション党首のポーリン・ハンソン氏による控訴が退けられたと報じられています。複数の現地報道によると、裁判所は、同氏がグリーンズのメフリーン・ファルキ上院議員に対して行ったSNS投稿について、差別に当たるとしたこれまでの判断を維持しました。

今回のポイントは、新しい差別認定が出たというより、以前の判断を不服として争った控訴審で、その主張が認められなかったことにあります。もともとの発端は2022年のSNS投稿で、その後の審理で人種差別法に反すると判断されていました。今回は、その結論を覆せるかが争点でしたが、結果として原判断が支持された形です。

報道では、問題となった投稿はファルキ議員の出自に関わる内容を含み、強い侮辱性や威圧性があったと裁判所がみたと伝えられています。控訴審でも、その投稿が公的な議論の一部として許容される範囲を超えていたかどうかが焦点になったとみられますが、裁判所はハンソン氏側の訴えを採用しませんでした。

オーストラリアでは、政治的発言の自由が広く議論される一方で、人種や出自に基づく中傷や排除をどう線引きするかも繰り返し争点になります。今回の判断は、議員同士のやり取りであっても、出自に結びつけて相手を公の場から排除するような表現には法的な問題が生じうることを改めて示したケースとして受け止められそうです。

パースで暮らす日本人にとっても、この話題は遠い連邦政治ニュースにとどまりません。豪州では職場、学校、賃貸、公共の場、そしてSNS上での言動について、人種差別やハラスメントに関するルールが比較的明確に整えられています。特に移民社会である西オーストラリア州では、出身国や見た目、アクセントに関する発言が相手にどう受け取られるかが重視されやすく、軽い冗談のつもりでも問題視されることがあります。

今回の件は、政治家による発言だから特別というより、公の場での発信には責任が伴うという一般的な原則を考える材料にもなります。SNSは個人でも広く拡散されやすく、感情的な投稿が後から法的・社会的な問題になることも珍しくありません。日常生活では、国籍やルーツに触れる話題を扱う際に、相手を排除するニュアンスになっていないか一度立ち止まることが大切です。

なお、今回報じられたのは控訴審の判断であり、もとの出来事は2022年の投稿にさかのぼります。裁判の積み重ねを経て、当初の差別認定が維持されたことが今回の新しい動きです。今後、関係者の対応や政治的な波紋が続く可能性はありますが、現時点では、裁判所が以前の判断を支持したことが最大のポイントといえます。

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