オーストラリア北部準州(NT)で、任意の医療介助死(Voluntary Assisted Dying、VAD)に関する法案が議会を通過したと報じられています。これにより、州と準州を含む全ての地域で、制度上はVADを導入する形がそろう見通しです。
今回の動きは、オーストラリアの終末期医療の制度整備において大きな節目と受け止められています。これまで各州で順次導入が進んできましたが、NTでも法整備が進んだことで、全国的に同種の制度が整ったことになります。ただし、実際に利用できる時期や申請手続き、対象となる条件、医師の関与のあり方などは地域ごとに異なるのが一般的です。制度が成立したからといって、直ちに同じ運用が全国で始まるわけではありません。
VADは一般に、重い病気などで耐えがたい苦痛があり、厳格な条件を満たした成人が、自らの意思に基づいて人生の最終段階の選択を行う制度として説明されます。一方で、本人の意思確認をどう担保するか、医療従事者や家族への心理的負担、緩和ケアの充実との関係など、社会的な議論が続いてきたテーマでもあります。そのため、法案可決は制度導入のゴールというより、詳細な運用設計が改めて注目される段階に入ったといえそうです。
パース在住の日本人にとっては、すぐに日常生活へ影響が出る話題ではないものの、家族の介護や長期療養、終末期医療を考えるうえで知っておきたい制度の一つです。特に永住者や長期滞在者の中には、将来的にオーストラリアで医療や介護を受けることを想定している人も少なくありません。州ごとに医療制度の説明や相談窓口、適用条件が異なる可能性があるため、一般的なイメージだけで判断せず、居住地域の公的情報を確認することが大切です。
西オーストラリア州でもすでに関連制度は導入されていますが、今回のNTでの法整備によって、豪州全体としては「どの地域にも制度が存在する」状態になります。ただし、利用資格には居住要件や病状に関する条件が設けられることが多く、海外から来たばかりの人や短期滞在者が同じように扱われるとは限りません。日本語での十分な情報が得にくい分野でもあるため、必要になった場合はGP(一般開業医)や病院のソーシャルワーカー、州政府の医療案内などを通じて確認するのが現実的です。
単独ソースの報道によると、今回の可決によってオーストラリアは全国ベースでVAD法制がそろうことになります。今後は施行時期や実務ルール、医療現場での準備状況など、具体的な運用面の発表が注目されます。制度の名称は似ていても、地域ごとの差が残る可能性があるため、実際の適用については今後の正式な案内を待つ必要がありそうです。
※豪州全土で安楽死制度化へは、現時点で確認できる1件の情報源をもとに整理しています。続報や公式発表で内容が変わる場合があります。