オーストラリア高等裁判所が、家庭内暴力(DV)に関する裁判で、相手に知らせずに行った録音を証拠として使える場合があるとの判断を示したと、複数の豪州メディアが報じています。今回の判断は、私的な会話の無断録音が通常は違法とされ得る中でも、被害者の身体の安全や自己決定に関わる保護の必要性が重いケースでは、例外的に扱われる可能性を示したものとして注目されています。
今回新たに伝えられたのは、最高位の裁判所がこの点を明確に示したことです。報道によると、問題となったのはDV事案の中で作成された秘密録音で、裁判所は、その録音が被害者の「身体の自律性」や「身体の完全性」を守るために必要だったという点を重視したとされています。これにより、録音の取得方法だけで一律に排除するのではなく、何のために録音されたのか、どのような危険や支配の状況があったのかが重要になる、という方向性が示された形です。
オーストラリアでは州や準州ごとに会話の録音や盗聴に関する法律が異なり、一般に私的会話を相手に無断で録音する行為は厳しく制限されています。一方で、DVや coercive control(継続的な支配・威圧)のように、外から見えにくく、第三者の目撃や記録が残りにくいケースでは、被害を立証する難しさが以前から指摘されてきました。今回の判断は、そうした現実を司法が一定程度くみ取ったものとして受け止められています。
特に移住者や留学生を含む在豪日本人にとっては、言葉の壁や家族・在留資格への不安から、被害の相談や証拠確保が難しくなることがあります。もっとも、今回の判断が「無断録音なら何でも許される」という意味ではない点には注意が必要です。録音の適法性や、裁判で使えるかどうかは、州法、録音の状況、目的、危険の切迫性などで変わる可能性があります。西オーストラリア州でも、録音や盗聴に関する規制は別途存在するため、自己判断で広く録音を行う前に、警察、弁護士、DV支援機関などへ相談することが重要です。
今回の高裁判断は、DV被害の立証において、現実の危険と被害者保護をより重く見る流れを後押しする可能性があります。今後は各州の実務や下級審で、この判断がどこまで広く適用されるかが注目されそうです。
もし身の危険がある場合は、まず安全確保を最優先にしてください。緊急時は000、緊急でない警察相談は131 444が基本です。パース周辺でもDV支援窓口や通訳付き相談の利用が可能な場合があり、英語に不安がある人ほど早めに支援につながることが大切です。