オーストラリアで年度末が近づくなか、今年のタックス・タイムでは、SNSや動画で広がる“簡単に税金が戻る”といった情報の扱いに注意が必要だと報じられています。SBS Newsによると、オーストラリア税務当局(ATO)は、いわゆる金融系インフルエンサーが発信する申告テクニックをうのみにしないよう呼びかけています。
オーストラリアの個人所得税の申告は、一般的に7月から始まります。ただし、早く出せばよいとは限らず、勤務先からの給与情報や銀行利息、民間保険、政府機関の支払い情報などが税務システムに反映される前に申告すると、あとで修正が必要になる場合があります。報道では、必要なデータがそろうまで少し待ったほうがよいケースもあると伝えています。
特に注意したいのは、経費として申告できるかどうかが曖昧な支出です。仕事に関係しているように見えても、私的な用途が含まれていたり、証拠書類がなかったりすると、控除として認められない可能性があります。ATOは以前から、申告内容は本人が責任を持つ必要があるとの立場を示しており、税理士や申告代行サービスを利用した場合でも、最終的な確認は重要です。
パース在住の日本人にとっては、ローカルの職場で働く会社員やカジュアル勤務の人だけでなく、配達、清掃、建設補助、ホスピタリティなど複数の仕事を掛け持ちしている人も多く、収入源が分かれていると申告内容が複雑になりがちです。さらに、車両使用、在宅勤務、制服や道具の購入、学習費用などは、条件によって扱いが変わるため、“みんなやっているから大丈夫”という感覚で申告しないほうが安心です。
ワーキングホリデーや留学生から就労に切り替えた人、年度の途中でビザ状況や雇用形態が変わった人も、税務上の扱いを一度整理しておくとよさそうです。オーストラリアでは居住者・非居住者の考え方や、源泉徴収額、スーパーアニュエーション(年金積立)との関係など、日本とは異なる点が多くあります。払い過ぎた税金が戻る可能性がある一方で、申告内容によっては追加で支払いが必要になることもあります。
また、還付を急ぐ気持ちから、SNSで見かけた“誰でも使える控除”や“監査されない金額の目安”のような情報に頼るのは避けたいところです。報じられている内容では、税務当局はデータ照合を進めており、雇用主や金融機関などから集まる情報との不一致は確認されやすくなっています。少額でも、根拠のない申告を積み重ねると後から見直しの対象になる可能性があります。
この時期に大切なのは、申告を急ぐことよりも、内容を正確に整えることです。給与明細、領収書、ログブック、在宅勤務の記録などを手元で整理し、MyGovやATOの案内で事前入力情報が更新されているか確認してから進めると、修正の手間を減らしやすくなります。英語での税務手続きに不安がある人は、登録税理士や公的機関の案内を利用し、SNSの“裏技”よりも公式情報を優先することが、結果的に安全な申告につながりそうです。
※確定申告時期の注意点は、現時点で確認できる1件の情報源をもとに整理しています。続報や公式発表で内容が変わる場合があります。