「パースの春」滞在記
リースフラワーを求めて
2006.11.20.記す
                            町田市在住 Mr,N.U.(67歳)

今回、初めて10月中旬からのパーススティを体験しました。
私にとりましては4回目のパーススティですが、この春の時期(10月)に現地を訪れましたのは初めてです。
今回の目的はパースの南北、数百Kmに広がって咲き誇っているであろう13000種とも言われるワイルドフラワーを見て歩くことが最大の目的でした。

往路、3日ほどシンガポールに滞在した後にパース空港に到着し、いつものように五社さんの出迎えを受けまして、その後レンタカー屋に立ち寄り、これまた、いつものように「カムリ」をレンタし、そのまま、今回は初めてスティするFremantleのHilton Houseに直行をしました。House到着は10月18日の夕刻でした。
今回も家内の姉のSさん夫妻とご一緒です。
Sさん夫妻とは昨年1月に、バサディーン・ヴィラにロングスティしたことがありますので、お互いに気心もよく判っていますので、今回は比較的短いスティではありましたが、充分、楽しむことが出来ました。

Hilton Houseは2bed roomですが、居間は充分広く、生活空間としては満足が出来るし、すぐ近くにはゴルフ場もあり、また、Fremantleの中心街で出掛けますにも大変、便利なロケーションであります。
Fremantleは近年、日本の南極越冬隊員が砕氷船「しらせ」に乗り込む場所として日本でも有名にもなりました。今回も60余名が乗り込むそうです。
昔は越冬観測隊員は日本から砕氷船に乗り込み、2ヶ月以上も掛かって、ひどい船酔いをしながら南極に到着していたのですが、最近では空路Perthに到着し、そしてFremantleで船に乗り込むそうですので大変、楽になっているようです。
今回も殆んど毎朝、6時頃ハウスを出発して、東・西・南・北と約1時間、散歩をしまして、周辺の観察をしましたが、当然のことながらバサディーンとは相当に異なった雰囲気がありました。
バサディーンは落ち着いた新興住宅地的でありますが、Hiltonは古い歴史を感じさせる町といったところでしょうか。

(1) 何故、ワイルドフラワー見物に出掛けたのか?
昨年も、今年も1月にKings Parkに出掛けまして、ワイルドフラワーの咲く終わり頃に幾つかの花を見ていますと、これがパース周辺でどこでも見えるのかと想像しますと、是非一度、沢山の花が咲き誇る時期にこの地を訪問してみたいという気持ちが段々と芽生えておりました。
近年、幾つかの日本の旅行会社が「ワイルドフラワーを見る旅」というパック旅行を企画し、積極的に販売していますが、パック旅行ではなく、やはり、現地で車をレンタし、自由にあちらこちらと山地を走り回ったら、どんなに素敵だろうかとも感じていました。

そんな折、都内で2006年7月、ある写真家によるワイルドフラワーに関する講演会がありましたので、私も興味を引かれ参加しました。
50名を越える中年の方々が参加していましたが、質問時間になりました時、あるオバサン(失礼)が、「私は昨年もパースに花を見に行きましたが、どうしても『リース・フラワー』を見ることが出来ず、とても残念でした。どこに行けば見えるのでしょうか?」という質問をしました。
この時、私は「リース・フラワー」というものの存在を初めて知り、写真を見たりして、どうしてもこれを見てみたいと思うようになりました訳です。
勿論、沢山のワイルドフラワーを見てみたいなぁという強い希望もありましたが、主たるターゲットは「リースフラワーを見る」ことに絞りました。

(2) 「リース・フラワー」とは
これは本当に不思議な花ですね。
「Wreath Flower」であり、これは俗名ですが、まさにリース状に、花輪にように咲く見事な花ですが、咲いている場所の発見が大変、難しく、地域の予備知識が無いと、とても咲いている場所の発見が困難なようです。
学名が「Lechenaultia Macrantha」、あるいは「Wreath Lechenaultia」(リース・レシェノルティア)と言うようですが、日本語では「クサトベラ科」だそうです。
中心が緑、周りの花の色は殆んどが赤系統だが、その赤も幾種類かがあり、この赤の部分に黄色とか白色が混じり、花がリース状になっているという誠に華麗な花なのであります。
このレシェノルティアの種類にはリースとイエローと、ブルーの3系統があるとのことです。実際の種類としては30種近いものがあると専門書には記載をされています。

今回は五社さんのご紹介で、Maylands Flatにロングスティ中のNさんご夫妻を知りました。
Nさんご夫妻は毎年、この時期に5年も続けて、ワイルドフラワー見物の為にパースを訪問されておられるという超ベテランの方でした。
世の中には凄い方がいるものだなぁというのが私の偽らざる実感でした。
Nさんの正に、的確な、ピンポイント的な場所のご紹介が無ければ私どもは、とてもリースフラワーを見つけることが出来なかったなぁと感じていまして、本当にNさんには、感謝、感謝であります。
ご紹介を受けました場所はPerenjoriの南方のSpencer Rd沿いの所と、Wubinの東北のGreat Northern HWYからGoodlands Rdには入った所の2ヶ所でしたが、私どもはこの2ヶ所に無事、たどり着き、花としては勿論、少し遅かったのですが、念願のリースフラワーを見ることが出来ました。見た瞬間は正に感動ものでした!!!
Goodlands Rdでは、ブルー色の同種類の花を見ることも出来ました。
Nさんのお話ではこの花は毎年、同じ場所に咲くということはないそうです。従って、発見が難しいのでしょうね。
パース周辺で販売されていますワイルドフラワーの年間カレンダーを何種類も見たのですが、このリースフラワーを掲載しているものは無く、一体、どうなっているんだろうかなぁと思っていましたら、やっと、ジェラルトンのVisitor Centerで1種類だけ見つけました。
同じくリースフラワーの絵はがき写真はMorawaの町で売っていました。
このリースフラワーは移植が出来ない為に、例のKings Parkでのフラワーフェスティバルでも見ることが出来ないようで、五社さんもこの花のことは全くご存知無かったことからも、現地の方々にとりましては余り馴染みがない花なのでしょうか?
きっと、五社さんの奥さんはこの花のことはご存知だとは思いますが、旦那さんは花には余り、関心がなさそうでありました?
何故か日本人には、この花の愛好者が多いのかも知れませんね。
私もこれから時間を掛けて、植物学的にこの花のことをもう少し調べてみたいと思います。

(写真を添付)
@ 絵はがきで見ました本格的なリースフラワーです

A Spencer Rdで今回、見ました盛りを過ぎたリースフラワー

B Goodlands Rdで見かけましたブルーの同系統の花


(3)今年のワイルドフラワーについて
今回も私ども2夫婦はFreemantleを起点として、合計3100Km以上をカムリで走り回りました。
北方へはFremantle→Gingin→Jurien Bay→Geraldton(1泊)→Dongara→Morawa→Perenjori→Wubin→New Norcia→Fremantle といったルートでドライブしながら、道中で色んな花を見ながら楽しみました。
今回も義兄のSさんがドライブし、私がナヴィゲーターの分業スタイルで走行していますので、一日に500〜600Kmも走れるのであります。
しかし、今年はどこの地域に行きましても、「来年、是非とももう一度お出で下さいね!」と言われてしまいました。
と言いますのも、今年は冬(7〜8月)に極端に雨が少なかったので、花の状態が大変、悪かったからです。
今年の猛烈な干ばつで、小麦の生産高が豪州では半減するのではないとも最近、報道されています。
現在、小麦は急騰し続けており、豪州は輸出国から輸入国になるのではないかとも言われているぐらいの影響が出ているようです。
2006年1月の夏は間違いなく冷夏であったと記憶していますが今年の冬(7〜8月)は大変な干ばつ、どうも異常気象が続きそうです。
そんなことで、今年はお花畑に囲まれるというイメージのところには、なかなか行きつけませんでしたが、それなりに沢山の種類の花を見ることは出来ました。
カンガルーポー系にも、バンクシア系にも、ボトルブラシ系にも沢山の種類があること、を知りましたし、ユーカリ系の木の花の素晴らしさ、グラスツリーの花の珍しさなどなど、充分、それなりに楽しむことが出来ました。

南方へはFremantle→Mandurah→Pinjara→Harvey→Bunbury→Brigetown
→Walpole→「Tree Top Walk」→Albany(1泊)→Two Peoples Bay→「GAP&Natural Points」→Mt.Baker→William→Fremantle といったルートでしたが、
実はBunbury周辺にはまだ、花が残っていますよという情報が事前にありましたので、私どもはBunburyのVisitor Centerへ立ち寄り、3箇所の見学場所の推薦を受け、これらに立ち寄りましたが、残念ながら、空振りといった感じで期待を裏切られました。
それでもNさんからご紹介を頂きましたTwo Peoples Bay付近のレッド・バンクシアは我々を充分、楽しませてくれました。

ここで面白い話を一つ書きます。
我々、2夫婦とも事前にそれほどワイルドフラワーに関して勉強もせず、パースに出掛けたのですが、私はワイルドフラワーに対して持っていましたイメージは、周辺の小高い丘とか山の中に当たり一面に赤とか黄色とか、紫色に咲き誇るワイルドフラワーのイメージがありました。ところが女性群は、どうも道端の木々に一杯の花が咲き誇っているイメージ、言うならば「花咲か爺さん」があたり一面に花を咲かせたといったイメージをワイルドフラワーにお持ちのようでありまして、かなり、私とは異なった想像力と言いますか、イメージと言いますか、両者はとても異なっていたのです。(笑)
実際に現地には両方がありますので、どちらが正しかったというほどのことでもなかったのですが。
私はPerthの北方のGingin周辺で小高い丘一面が、紫色に染まった光景を見まして「これだ!」と感じました。

(4)今回のView―Pointsについて
今までの何回かのPerthスティで殆んど有名なView Pointsを私どもは見ていますので、さて、今回はワイルドフラワー見物以外では、どんなところに行こうかなぁと色々と思案もしました。
いつも感じるのですが、Perth周辺のView Pointsはどこへ出掛けましても、失望をさせられたことが全く無い、不思議なところだなぁと思いますが、それは何故なのでしょうか?
今回は「Cohunu Koala Park」、Hillaryの「Aqwa」(水族館)は充分、楽しかったですし、Albany付近の「Tree Top Walk」も「The GAP&Natural Points」も大変、素晴らしかったです。
そして私が好きな田舎の町、Yorkへはこれで3回目ではありましたが、今回も出掛けました。不思議な魅力を持った町ですね。本当に西オーストラリア州の「明治村」です。
わずか3000人の田舎町、メインストリートにあります骨董品店に今回も立ち寄りました。お店のおばさんはお元気でして、私のことをすっかり覚えていましてニコニコと対応をしてくれました。今回もスペシャルバーゲンセールをOKしてくれましたので、大きなビニール袋、1杯にどれだけ衣類を入れても3ドルでOKというビックリセールを楽しんだ次第です。

前に書きましたように、何故、西オーストラリア州のVeiw Pointsは、どこへ出掛けましても失望されられることが無いのは何故なのでしょうか?
幾つかの理由があると思いますが、
@ 日本の観光地にありますようなむやみやたらのケバケバしい看板が見当たらないので、自然の風景がそのまま生かされていること。自然の保護という観点では相当な厳しい規制があるのでしょう。
A 小鳥も小動物類も人間を全く恐れることがなく、自然に我々に近づいてくる感じは本当に最高です。そして花も至るところで見ることが出来ます。
B 基本的には訪問する観光者の数がまだ、少ないのでしょう。どこへ行きましてもゴミの散乱は見かけることが殆んどありません。City Beachを始め、南北の長い海岸線の砂浜にはゴミが無いのです。日本では考えられないことです。モンガー湖の周辺でもゴミはないですね。
C 西オーストラリア人の独特な「人懐っこさ」はビジターにとりましては気持ちが良いのですが、何故か色んなところで出会います動物類も「人懐っこい」ですね。
オーストラリア人のこの心の大らかさはやはり、広大な土地があり、偉大な資源立国、農業立国という背景があるからなのでしょうか。
D 最後には気候が素晴らしいという要素も大きいでしょう。あの湿度の低さは快適ですからね。

しかし、少し褒め過ぎましたので、苦情を一つだけ書きます。
それは「道路標識」についてであります。どうして、あんなにも道路標識が見難いのでしょうか。街中のRd標識も、St標識も誠に見難いですね。夜間運転で全く見えないです。
Hwy上の標識も絶対数が不足していますね。道路Noの標識も、町の名前の標識も数が少ないです。私は他の州でドライブした経験がありませんが、これは西オーストラリア州だけの現象でしょうか。旅行者が益々、増加する現状から州政府は改善を考えて貰いたいものです。
しかし、現地の方々の運転マナーは良いですね、速度規制はきちんと皆さんが守りますが、これはスピード違反に対しては厳しいからでしょうか。

(5)「Tomato Lake」について
私は現役中は所謂、「トマト屋?」でありましたので、このLakeの名前に惹かれまして立ち寄りました。
パースの街中には数多くの公園があります、その中には湖があるものが多いですが、その代表がLake Mongerでしょう。
Tomato Lakeがあります所はBelmont と言われる結構な高級住宅街の中にある公園ですが、ブラックスワンを始めとする鳥も多く、魚も沢山います。結構、広い公園でした。
1974年に始めて「Tomato Lake」と命名されましたが、実は1914年にこの地域でCraig氏などにより、トマト栽培が行われ、マーケットに出荷されたようです。
従いまして、このLakeは長い間、「Craig Lake」と呼ばれていたのですが、1974年に改名されたとのことです。
このように町で管理しています湖を有した公園が町の中に沢山あるのは、誠に羨ましい限りです。

(6)物価変化について
勿論、パースの物価はこのところ、上昇気味であることは間違いないでしょう。
特に不動産類の上昇は相当なもののようですが、我々の身近なものについてみてみましょう。
比較は2005年1月と、今回の2006年10月の比較です。
市バス 1ゾーン 1.90$ → 2.10$(10.5%UP)
      2ゾーン 2.90$ → 3.20$(10.3%UP)
無鉛ガソリン代 0.899$/L→1.280$/L(42.4%UP)(店により差がある)

ガソリン代は大変な高騰ぶりです。
他の物価は今回は細かくはチェックしませんでしたが、確実に上昇しているのでしょう。
しかし、何といっても為替レートの変化が物凄く、昨年1月は82円/$でありましたものが、今回は92円/$に変化したことが最大でしょう。11%強の円安ですから。


(7)最後に
今回の失敗談を恥ずかしながら書いておきます。
まず、Perthに到着時の通関で持ち込みました日本食糧のチェックを今までで、最も厳しく受けてしまいました。今までは日本食糧品のリストを英語できちんと書き上げて持参し、これを検疫担当者に見せるようにしていましたが、今回は私自身が手抜きをしてしまい、口頭では説明をすれば良いであろうと少し高をくくって出掛けたのが失敗でした。
検疫担当官から「何か食糧品を持っていますか」と聞かれましたので、○○と○○と言った調子で5品目程度を適当に口頭で言いました。
そして実際の私の旅行カバンも見たら10数種類を越えるものが入っていた為に、正確に質問に答えていないということで、「検疫要件違反警告書」なるものを頂戴してしまいました。
この種の違反は最高220$の罰金だそうですが今回はパスさせてくれましたが、近年、益々、厳格な検疫検査がされるようですので、注意が必要でしょう。
今後は、日本食糧品は旅行カバンとは全く別のダンボール箱に詰め、きちんと予め英語でリストを作成し箱に貼っておき、これをいち早く担当官に提出することによって、簡単に検疫が済むようにする積りです。しかし、この「違反警告書」は記念に仕舞っておきます。

そして、帰途、もう一つの失敗をしました。
旅行カバンの1個が厳密に32Kgを越えないようにすることが必要でした。私のケースは大型のものでしたので、何と44Kgもあり、これを32Kgに減量するのに大変でした。同行の皆さんに大変な迷惑を掛けました。
そして、機内持ち込みのケースも1個当たり7Kg以内というルールも厳重に適用されていました。皆さん、ご注意をして下さい。

今回は比較的短いパーススティでありましたが、沢山の思い出を作ることが出来ました。いつもながらの五社さんの色んなヘルプには感謝です。
五社さんには、スティ中、The Vines と Whaleback C.C.で2回のプレイにお付き合いを頂きました。
同氏の華麗なフォーム、得意なドローボールをしっかりと拝見しました。
しかし、パースは本当にゴルフ天国ですね。

今回、初めて10月に出掛けまして感じたことは、この時期は日本とパースの温度差があまり大きくありませんので、1月とか2月に出掛けますと帰国後の温度差が大きく体調管理が大変なのですが10月ですと、こうした苦労は全くありません。大変、楽です。
次回もやっぱり、10月に行こうかな?

次回、パースを訪問する時には、行ってみたいところは、北のほうではMonkeyMiaと世界遺産に指定されているShark Bay,そして生きている化石といわれるストロマトライトの見学、あるいは南の方ではEsperance地域へ訪問する、あるいはいつの日にか、途中、Ayers Rockを見物しながらの汽車でパース→シドニーの大陸横断を夢見ております。
勿論、今一度、いやっと言うほどの沢山のワイルドフラワーを見て見たいとも思っています。
以上、Hilton Houseでの今回の滞在も大変楽しく、お隣の「よのすけさん」ともお知り合いになりましたので、今後、メール交信をさせて頂きたく思っています。