パース通信|Duke in Perth|

          
                  パース、巷の噂 其の1


パースの日本人社会は、最近になって大分人口が増えてきたと言う人もいますが、

せいぜい数千人規模の日本でいえば村クラスの社会でしょう.ただ、日本の村と

大きく異なるところは、当然のことですが土地面積が桁違いに広くて、人口密集率は

極端に低いということです. 

外出して町で日本人の知り合いに一人として会わないことも、珍しくありません.

 
たまに知った人に出会うことがあれば、凡人の悲しさ、オーストラリアの政治や経済

の話より、話題はやはり共通の知り合い、友人、の消息を尋ね合う、噂話に花が

咲いてしまいます.
私自身は、当地の日本人社会の公式サークル(日本人会、

日本倶楽部、豪日協会、商工会議所etc)に現在は参加していないのですが、

噂を聞きますと、デュークの評判はあまり芳しくないですね.

言いたいことは相手構わずにはっきり言う方ですし、偉そうな態度の人には、

偉そうな態度で対応する性癖を持っているので、評判の良いはずが無いですよね.

あいつは日本でヤクザだったとか、なにをやって食ってるのか分からないとかの

噂が、流れてるそうです. 余計なお世話です.

 
人様から言いたいことを言われているから、という訳ではないのですが、私が耳に

した巷の噂話をいくつかご紹介したいと思います.あくまでも噂話ですので面白

おかしく読んでいただき、真実を追究するような無粋なことは避けていただきたい

と思います.

  
日本の縦社会システムの中で長年暮らしていると、外国に来て住んでいても、

未だ其のシステムがワークすると勘違いする方がいらっしゃいます.

貴方はパースでは日本での社会的地位も、学歴も職歴も、賞罰も何もかも関係ない

NOBODYだということを自覚できないのです.もしくは、認めたくないのです.

日本に居た時、財閥系の会社、それも主要企業でなく子会社の社長だった方が、

退職後にパースにご夫婦でやって来て住みつきました.人間誰しも程度の差は

あっても、年を取ると男は皆因業ジジイに、女は意地悪ババーになるという

方程式があるそうですが、このご夫婦はピッタシこの式に当てはまっているそうです. 


日本人の経営するお店に行っては、現金が一杯詰まったお財布をわざわざ開けて

周囲に見せびらかす、(この行為はとても危険ですから、お止めになったほうが

良いです.) お店の人には頭ごなしのデカイ態度で注文する、といった按配で、

日本人相手の商売しているお店や業者で誰一人として被害に会わなかった者

はおりません.そのかわり、ローカルのお店に行くと、言葉が良く分からない事

もあって、ニコニコと愛想の良いお客様に変身いたします.

何度か親切な方がご注意申し上げたのですが、聴く耳は持っているはずは無く、

今でも偉そうにあちこちで公害を撒き散らしているそうです.

ゴルフのコンペにご一緒した方がこぼしておりました.「私がダブルボギーの6打

を叩いて、彼はそれ以上叩いているのに、スコアをお聞きするとボギーの5と申告

するんです.怒る気力も沸きません.」 日本での接待ゴルフ後遺症でしょうね. 

  
次の噂話は、パースでお店を営業している方が、住み込みで働いているワーホリ

の学生さんの旅行鞄からクレジットカードを留守の間に拝借して、買い物をしたと

言われる事件です.それもその学生が帰国する寸前に盗んだカードで買い物を

するのです.日本に帰ってからしばらくして学生本人に請求がくるので、わざわざ

パースまで引き返して調べても仕方ないと、泣き寝入りしてしまうケースが

多かったようです.しかし中には納得いかなかった学生もいて騒ぎ立て、当地でも

多くの人の噂になリました.

実際には刑事事件にはならず、その噂を流したといわれる方と疑われた方の間

に弁護士が入り、ことは表面化せずに鎮静化いたしました.

被害にあった学生が、皆たまたま同じお店で働いていたこともあって、疑惑の

焦点になってしまったのですが、本当に自分のカードが不正に使われたのなら

きちんと警察に届けるべきでしょうね.

学生の勘違い、使い過ぎの言い訳にするといったことも考えられます.

しかしカードが使われたという事実はあったのですから、どっかに真犯人がいる

のでしょうね.どちらが真実かは神のみぞ知る世界です. あまり後味の良い

噂話でないことは確かです.何れにしろ、日本の若者には、外国に行ったら

自分の身は自分で守るという、強い自立心を持って欲しいものです.
 
 
パースは、アメリカなど西洋社会の特徴でもある、話がこじれたら即裁判の

訴訟社会です.話し合いで解決より裁判で白黒決着つけたがる、ある意味

ではぎすぎすした人間相互不信の社会構造といえるでしょう.

私も当地に来て、ご他聞に漏れず何度か民事裁判で訴えたり訴えられたり、

勝ったり負けたりいたしました.何れにしろ、当事者同士は経済的、精神的

打撃を受けるわけで、儲かるのは双方の弁護士だけという結果です.

悔しいので子供達に弁護士になって欲しいとお願いしたのですが、

彼女達には、「そんなに苦労して勉強してまで、プロフェッショナル嘘つきに

なるのは嫌だ」と断られました.

2001/02/13