コロナウイルス不況で失業者26年ぶりに10%台に

連邦財務省で140万人が失業と試算

 連邦財務省の試算では2020年半ばまで失業者が徐々に増えていき、最悪70万人が新たに失業するという数字になった。この失業率は26年ぶりの高率だが連邦政府が導入したJobKeeperプログラムがなければもっと悪い結果になっていただろうとしている。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。

 プログラム編成前、財務省では2月現在5.1%だった失業率がコロナウイルスの蔓延で事業所が次々と閉鎖していく結果、15%にまで悪化すると試算していた。

 それに対して連邦政府は1,300億ドルの賃金補助プログラムの実施で失業者も2020年第二四半期には10%程度に留まると判断している。

 前回、失業者が10%になったのは1990-91年の不況から回復中の1994年4月のことだった。

 ジョッシュ・フライデンバーグ財相は、世界経済が直面している経済ショックは2009年の世界金融危機時より遙かに大きいと語っている。

 さらに、「コロナウイルスの影響で経済活動が低下しており、それに対して政府は3,200億ドル、GDPの16.4%という巨額を投じ、コロナウイルスの打撃を受けている国内金融制度、事業所、国民世帯、国民個人をサポートするプログラムを編成した」と語っている。

 ただし、豪国立大学(ANU)のTax and Transfer Policy Instituteの部長を務めるロバート・ブリューニグ教授は、「この政策の3,200億ドルの負担を背負わされるのは若い世代であり、しかも、その若い世代は所得の減少にも耐えさせられることになる。国家財政は、企業、個人の経済活動による直接税に大きく追っており、そのため、現在のプログラムの財源となる債務の返済は若い世代の将来の所得からひねり出されることになる。しかも、コロナウイルス蔓延のため、若い世代の所得は低く抑えられている」と述べている。

 ブリューニグ教授は、代替案として、印紙税に代えて土地税の導入、老齢年金の資産テストに持ち家を含めること、キャピタル・ゲインに対しては一律税率を適用することなどを提案している。
■ソース
Unemployment to hit 10 per cent, 1.4m Aussies out of work: Treasury